海外から道具を買う
Instagramなどで海外の情報が簡単に手に入る時代になりました。もちろん気になるコーヒー器具もあるでしょう。本来はそれを日本で簡単に買えるようにするのがBATHTUB COFFEEの役割なのですが、やはりどうしてもすべてというわけにはいかない。そこで、ご自身で海外から買ってみようというかたのために、必要な手続きとその方法を簡単にご説明します。もちろん、BATHTUB COFFEEもいつも同様の手続きを行っています。一見ややこしいと思われる手続きも、整理してみると意外と簡単かもしれません。
大きく分けると必要な手続きは二つ。食品届の提出と通関です。その中でも食品届の提出が一般的に馴染みが薄いものではないでしょうか。初めて聞く方もいるはずです。ここでは、主にこの届出を中心に見ていきましょう。
まず、第一に考えなくてはいけないのが食品衛生法。コーヒーという食品に関する器具なのだから、当たり前ですよね。そこで、器具を輸入する際に最初に考えるべきは、「食品に直接触れる」かどうか。直接触れるものは届出が必要になります。例えばミルクピッチャーはミルクに直接触れますし、タンパーやバスケットはコーヒーの粉に直接触れます。また、カップはもちろんコーヒーに直接触れます。そのため、これらの器具を輸入するときには、届出をする必要があるのです。一方でタンピングマットやノックボックス、ドリップスタンドなどといった器具は、直接食品に触れない。そのため、届出の必要はありません。
さあ、ではいざ輸入しようと思った器具が届出が必要なものだった。そのときに行う届出というのが、「食品等輸入届出書」、通称「食品届」の提出です。なお、大前提として個人用の輸入では、食品届を提出する必要はありません。ここでいう個人用とは、「家で自分で使うだけ」という場合。ホームバリスタの人が、自分の練習用にミルクピッチャーを輸入して使うのにこの届出は不要なのです。一方で、個人で輸入していても、それを「販売する」あるいは「営業で使う(お店でお客さまに食べ物飲み物を提供するために使う)」となると届出が必要です。タンパーを輸入して、それをお店で使う。こうなってくると届出が必要になってくるわけです。もちろん、個人用の場合でも通関は必須です。
まずは商品が発送されたらすぐに運送会社に留め置きの連絡をして、税関への輸入申告をしないようにしてもらいましょう。これを行なわない場合、個人用として、届出をしないまま輸入されてしまうことがあります。食品届の手続きは「輸入時」にしなくてはならず、もし届出を行わないまま輸入されてしまうと、その器具は販売や営業での使用ができなくなってしまうのです。
さて、無事に留め置きをしてもらうことができた。そうしたら、貨物が日本に到着するのを待って、再び運送会社に連絡をしましょう。食品届には、貨物が乗っていた飛行機の便名や貨物が保管されている倉庫など、運送会社でしか知り得ない情報を記載する必要があるからです。運送会社に「食品届記入に必要な情報を」と伝え、メールで連絡してもらいましょう。食品届には、輸入者の名前や住所、生産国、製造者や製造所の情報、製品情報等を決められたコードとともに記入します。もちろん、運送会社からもらった情報も記入しましょう。コードはウェブ上から調べることが可能です。
食品届の提出時には、記入した食品届以外にも必要なものがあります。それが、インボイスとAWB(エアウェイビル)、資料です。インボイスとは、請求書や納品書のこと。製品名や購入個数、金額などが記載されており、購入時にメーカーからメールでもらえる場合もあります。もしもらえていなかった場合、貨物にも添付されているため、運送会社に言ってコピーをもらいましょう。次に、AWB。これは送り状のことです。メーカーか運送会社に言って、コピーをもらいましょう。メーカーによってはくれないこともあるため、運送会社のほうが確実です。また、資料も自身で用意する必要があります。資料は、製品名とその写真、輸入個数、製造者と製造所を記載したものを作成します。写真はメーカーにお願いをして送ってもらいましょう。輸入者の名前と住所も記載、押印して完成です。以上で、揃えるものは全てです。食品届を2部、インボイスとAWB、資料を1部ずつ、返信用に切手を貼った封筒を入れて、担当検疫所の食品監視課に提出しましょう。問題がなければ、許可のハンコが押された、通称済証が数日で返送されてきます。
運送会社によっては、この食品届提出の手続きを代行してくれるところもあります。正確には、代行でしか食品届の提出をさせてくれないところもある。こうなってくると運送会社に任せるしかない上に、数千円の代行手数料がかかってしまうことを覚えておきましょう。なお、運送会社は中身に関しては素人ですので、代行の場合でも資料の提出は必須です。郵送やメール添付で運送会社(あるいはその委託業者)へ送付します。場合によっては電話で追加の説明が必要になる場合もあります。
また、器具の材質によっては食品届提出の際に検査を受けなくてはならないものもあります。例えばシリコンやゴム、プラスチック、陶磁器などです。材質や色ごとに検査を受けなければならず、また、1回の検査に複数個必要だったり数万円という検査費用がかかってきたりしてしまいます。そのため、個人で少量のみを営業用として輸入をするというのはなかなか難しいかもしれません。また、万が一検査に合格しなかった場合は廃棄をするかメーカーに送り返さなくてはいけないというリスクもあります。
さあ、そして税関への輸入申告。いわゆる通関です。これは運送業者が代行してくれる場合がほとんどです。先に返送されてきた食品届の済証が必須となりますので、スキャンしてメールで運送会社に送っておきましょう。場合によっては、税関でも検査が行われる場合があります。費用負担はありませんが、数日かかる場合もあります。輸入が問題ないとなると、これによって関税や消費税が確定します。この税金の支払いをもって正式に輸入許可となります。関税や消費税は運送会社が代わりに支払っておいてくれる場合がほとんどで、のちに請求がきますのでご注意を。輸入申告の代行手数料などと一緒に運送会社に支払うことになります。これでやっと手続きが完了し、注文した商品が手元に届くわけです。
さて、いかがだったでしょうか。やはりややこしかったでしょうか?それとも意外といけそうですか?ややこしそうだというかた、気になる器具があればぜひBATHTUB COFFEEまでご相談ください。前向きに検討させていただきます。いけそうだというかた、是非挑戦してみてください。一気に世界が広がりますよ。